定年退職後の手続き

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健康保険の手続き

健康保険の手続きの選択

定年退職後に選択する健康保険のコースは、主に以下の3つになりますので、それぞれ期日までに手続きを行います。

健康保険の手続きの期限は非常に短く、定年退職をしたらすぐに手続きを開始しなければなりませんので、サラリーマン時代に健康保険をどうするかあらかじめ決めておいた方がよいでしょう。

 

また、定年退職後すぐに再就職する場合は、新しい勤務先の健康保険に加入することもあります。

その1 家族の健康保険の扶養に入る

原則として退職日の翌日から5日以内に手続き

あなたの配偶者や子供が「健康保険」に加入していて、その方に生計を維持してもらっている場合は、その方の扶養家族になれます。

扶養に入れてもらうので、保険料を支払う必要はありません。

 

この場合、退職者が60歳以上の場合は年収が180万円未満(60歳未満は130万円)で、かつ健康保険加入者本人の年収の1/2以下であることが条件です。(この年収には年金も含まれます)

 

この方法が経済的に、一番有利な方法といえるでしょう。

必要なもの
  • 被扶養者(異動)届
  • 所得証明書・住民票など(健康保険により異なります)
提出先 家族の方の勤務先
提出期限 原則、退職の翌日から5日以内

その2 健康保険任意継続被保険者になる

退職日の翌日から20日以内に手続き

退職後も今までと同じ健康保険に任意で加入することができます。

これを任意継続制度といいます。

 

加入期間は2年間で、2年間を経過した後は、国民健康保険か家族の健康保険被扶養者になるなど、他の保険制度に移行することになります。

 

加入条件は退職前に引き続き2ヶ月以上の被保険者期間があることです。

 

任意継続の一番大きなメリットは支払う保険料です。
一般に国民健康保険より支払う保険料が安いです。

 

退職直後に国民健康保険に加入すると、前年の所得(退職前の高い給与)によって保険料が算出されてしまい、退職後1年目は一般的に高い保険料になる方が多いと思います。

 

また、国民健康保険には、健康保険でいう「被扶養者」制度がありません。

したがって、今までは扶養にしており保険料を納めていなかった奥様などの扶養家族(第3号被保険者)が、国民健康保険に加入しなければならないことになります。

 

一方、任意継続の場合、在職中の健康保険料は、会社と被保険者がそれぞれ半分ずつを負担していましたが、退職後の保険料は全額自己負担となりますので保険料は現役時の2倍の金額になります。
(ただし、保険料の計算は、退職時の標準報酬月額かあるいは所属健康保険の平均月額のいずれか低いほうの額をもとに計算しますので必ずしも2倍になるわけではありません。)

 

また、任意継続被保険者になると、下記以外の理由では途中でやめることはできません。

  • 再就職した場合
  • 死亡した場合
  • 保険料を期日までに納付しない場合

ですから、上記のメリット、デメリットをよく検討した上で選択するようにしてください。

保険料は、 収入や家族構成などによっても異なりますので、自分で計算することが難しい場合は、最寄りの年金事務所や市区町村役場に問い合わせて調べてみましょう。

必要なもの
  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
  • 家族を被扶養者にする場合「被扶養者(異動)届」、「住民票」
  • 認印
  • 1ヶ月分の保険料(取得の日によっては、2ヶ月分必要な場合もあります)
提出先 会社で加入していた健康保険組合
(政府管掌健康保険の場合は、協会けんぽの各都道府県支部)
提出期限 退職の翌日から20日以内

その3 国民健康保険に加入する(国民健康保険の退職被保険者になる)

退職日の翌日から14日以内に手続き

家族の健康保険の被扶養者にならない場合や任意継続をしない場合は、「国民健康保険」に加入します。

退職後、14日以内に退職証明書か健康保険資格喪失証明書(いずれも以前の勤務先で発行してもらう)を、市区町村役場に提出します。

保険料は前年の所得に応じて算出されますが、算出方法は各自治体で異なりますので、定年退職前に市区町村役場で試算してもらうとよいでしょう。

必要なもの
  • 各市町村で定められた加入届出書
  • 退職証明書または健康保険資格喪失証明書(以前の勤務先で発行)
  • 認印
  • 本人確認書類(運転免許証など)
提出先 市区町村役場
提出期限 退職の翌日から14日以内

その他の健康保険制度もあります。

退職者医療制度について

退職者医療制度は、会社を退職した人とその扶養家族が加入する、市町村が運営する国民健康保険の中の制度です。

以下の方(その方の扶養家族も含む)は、退職者医療制度に加入します。 退職者医療制度は、納める保険料や自己負担額は3割であることなど、基本的に国民健康保険と同じです。

 

一般の国民健康保険と違いはありませんが、退職者医療制度では、医療費の一部が現役時に加入していた健康保険からの拠出金が財源となっており、運営財源に違いがあります。

対象者

65歳未満で老齢年金の受給開始年齢に達している方 かつ
厚生年金・共済組合等の被保険者期間が20年(または40歳以降に被保険者期間が10年)以上ある方

手続き

市区町村の国民健康保険の担当窓口にてそれぞれ手続きを行います。

資格が確認されると「退職被保険者証」が交付されます。

国民健康保険に加入している方が60歳となり、年金の受給権を得たとき

年金の受給権が発生した日から退職被保険者となります。

年金証書を受け取ったら14日以内に以下のものを持って届け出をしてください。

  • 国保の保険証(被扶養者がいる場合はその方の保険証も)
  • 年金証書
60歳以上65歳未満の方が国保に加入するとき

すでに退職被保険者および被扶養者の条件を満たしている方が国保に加入するときは、国保加入の手続きとあわせて、退職医療制度の届け出をしますので、以下のものを持って提出してください。

  • 健康保険の資格喪失証明書(被扶養者がいる場合はその方も記載のこと)
  • 年金証書(年金加入期間が記載されたもの)

特例退職被保険者について

加入している健康保険組合が、厚生労働大臣の指定する「特定健康保険組合」(比較的大規模な会社が採用していることが多い)であれば、健康保険の特例退職被保険者になることができます。

ただし、この制度を利用する方は国民健康保険の被保険者にはなれません。

 

特定健康保険組合であるかどうかは、会社に事前に確認しておきましょう。

特例退職被保険者の自己負担額等は国民健康保険と変わりませんが、健康保険組合の保養施設の利用ができたり、国民健康保険にはない「一部負担還元金」や「家族療養付加金」などの付加給付制度があります。

また、保険料は組合が独自に安く設定していますので、退職直後の国民健康保険料に比べれば一般的に安くなるといえます。

 

しかし、退職2~3年後は本人の収入が減るために国民健康保険料が安くなることもあります。

国民健康保険料が安くなったからといって、途中で特例退職被保険者から国民健康保険に移行することはできません。

 

したがって、これらのことをよく吟味した上で特例退職被保険者を選択するようにしましょう。

75歳になったら後期高齢者医療制度

国民健康保険や会社の健康保険等の加入者が、75歳、及び65才以上で一定の障害(寝たきり等)になったら、後期高齢者医療制度で医療を受けることになります。

 

今まで、健康保険、国民健康保険、家族が加入している健康保険の被扶養者であった方もすべての人が加入する必要があります。

後期高齢者医療制度では、所得に応じて自己負担する割合や自己負担の上限が軽減されます。

自己負担の割合は、かかった費用の1割または、一定以上所得者は3割となります。

 

制度の運営については、都道府県ごとに全市町村が加入する広域連合という組織が設立されており、この広域連合が運営主体となります。

ただし、保険証等の交付申請や引き渡し等のいわゆる「窓口事務」及び「保険料の徴収事務」については、引き続き各市町村が行います。

被保険者
  • 75歳以上の方(75歳の誕生日から資格取得)
  • 65歳~74歳で一定の障害の状態にあることにつき広域連合の認定を受けた方(認定日から資格取得)
保険料 「後期高齢者医療広域連合」が決定した保険料を市町村へ納付。保険料は条例により各都道府県で異なる。
自己負担の割合 1割(現役並み所得者は3割)

現役並み所得者とは

  • 課税所得が145万円以上 かつ
  • 収入が高齢者複数世帯520万円以上、高齢者単身世帯383万円以上
加入手続き

75歳になる方は、加入の手続きは不要です。

市区町村の後期高齢者医療広域連合から誕生日の前日までに「後期高齢者医療被保険者証」が1人に1枚送付されます。

その他の手続き

下記の場合は、手続きが必要です。本人と確認できるもの(運転免許証、公的証明書など)をお持ちください。

届出が必要な場合 必要なもの
一定の障害のある方が加入するとき 障害者手帳など障害であることを証明するもの。
これまでご加入の保険の保険証
転入してきたとき 負担区分証明書、転出証明書
市内で住所を変更したとき 保険証
転出するとき 保険証
保険証を紛失したとき 本人確認書類
死亡したとき 亡くなった方の保険証、葬祭を行った方の預貯金通帳、印鑑、領収書

※詳しい手続きは、後期高齢者医療広域連合(市区町村)にてご確認ください。